大江戸ガーディアンズ
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「……与太、おめぇはどうするつもりでぃ」

兵馬の物云いが元に戻った。

与太の顔がとたんに曇っていく。それに伴って、(こうべ)も垂れていく。


島村から告げられて以来、兵馬に云うか云うまいかとずるずる考えあぐね、いつしか一回り(一週間)も過ぎていた。

何故(なぜ)か「雇い主」の同心・杉山 新九郎(しんくろう)にも「親分」である伊作にも話す気にはなれなかった。

たとえ話したとて、(はな)から断るより他に道はなかろう。

「南町」に属する身であるのだから、至極当たり前のことだ。


「もし、迷ってんだったらよ……引き受けてみねぇか」

いきなり兵馬から云われて、与太はがばりと顔を上げた。

「いや、でも、そいつぁ……」

その(つら)は、思いっきり間の抜けたものになっている。

「おれにはよ、島村の野郎がなにを考えてやがんのか、開目見当がつかねぇのよ」

その端正な面差(おもざ)しを歪めつつ、万筋の着流し姿の兵馬が懐手をする。


「——だからよ、おめぇにそいつを探ってきてもらいてぇんだ」

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