大江戸ガーディアンズ
「——我らが生まれた頃であらば、其の北町の『隠密』はまだ存命であらぬか」
「あぁ、さようでござるな。確か名は……」
主税は頭の中で「書物」を捲っているかのごとく遠い目をした。
「『島村 尚之介』と云ったか……」
「『島村』と申すのか」
兵馬はカッと目を見開いた。
「さようでござる。
ただ、今は『島村 勘解由』と名を改めておるそうだがな」
主税ははっきりと思い出したようだ。
その名は——
島村 広次郎の叔父で、今では養子先の養父となった者の名であった。