大江戸ガーディアンズ

それから、主税は御役目の際の継裃(つぎかみしも)平袴(ひらばかま)から楽な姿になるために、足早に自室へと向かった。

後ろからはその支度を手伝うため、小袖の上に打掛を羽織(はお)った和佐がしずしずと付き従う。

ここから先は、もう使用人は付いてこない。

主税と和佐の二人きりだ。


庭師が丹精込めた広大な庭園を横目に、二人は一言も発することなく回廊を進む。

ようやく座敷に着くと、中へ入る。

入り口で打掛の裾を(ひるがえ)して腰を下ろした和佐が、縁側に面した雪見障子をすーっと閉めた。


そして、振り向きざま——

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