ふたごのミトン
ふたごのミトン
すこーしむかし、すこーしむかし。あるところに、ふたごのミトン、テブちゃんと、クロちゃんがいました。
ふたごなので見た目はそっくりです。でも、性格はちょっと違います。
左のテブちゃんはおとなしめ、右のクロちゃんは元気めです。
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「ちょっと、テブ?」
「ぁ、いま、デブって聞こえた」
「ちっとも動かないんだもん、私よりはデブかもよ」
「……っ、ょぅ、ぃぅゎ」
「ねぇ、テブ、少しは動いてよ。いつも私ばっか動いてんじゃん。不公平でしょ?」
「……けど、動かないのは、私の意思じゃないもん。右利きのミーコちゃんのせいでしょ?」
「……か。確かにそうだよね。――あっ! グッドアイデアがひらめいた。チェンジすればいいんだ」
「ちょっと、テブ、どいてよ」
「運動不足で動けない」
「ったく。ほら、私の手を握って。ヨッコラショッと!」
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『……あれぇ、なんかちがう。……けど、右においたのが右手で、左においたのが左手だから、これでいーんだ』
『わぁ~い! 雪がっせんだー!』
「わっ、冷たっ! もー。最初からハードだわ」
「ひゃー! 冷た。テブ、私も条件は同じよ」
「あ~、ミーコちゃんが雪を投げるたび、めまいがする」
「私はずーっと、それにたえてきたのよ」
「あ~、頭がクラクラしてきた。……クロ、助けてぇ」
「ガンバっ! もう少しでお昼だから、私たちを脱ぐわ」
「……ぁぁぁ~、だめ。倒れそう……」
コテッ!
「テブーーーっ!」
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「テブ、大丈夫? 目が覚めた?」
「……ここは?」
「いつもの机の上よ。ごめんね、私が余計な提案しちゃったから」
「ううん。……もう、大丈夫だよ」
「よかった。ね、元に戻ろう。ミーコちゃんがお昼ごはん終える前に」
「うん。……ありがとう」
「起きれる?」
「うん。起きれる」
「ほら、私の手につかまって。せーの!」
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『……ん? さっきとちょっとちがうけど、左においたのが左手で、右においたのが右手だから、これでいいんだ。なにしてあそぼかな』
『あっ、イタっ!』
「た、大変っ! ミーコちゃんが手をケガしたみたい」
「アッ! ミーコちゃんの手から血が出てる。あ、クロにもくっついてる」
「あ、ホントだ」
「アッ! クロの毛糸がほどけてる」
「……ぁっ……ぅぁ~ぁ……」
「早く止めないと、どんどんほどけちゃう。どうしょう……クロが死んじゃう。神様ーーーっ、クロを助けてーーーーーっ!」
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ШШШ ШЩ
ξ
ζ
ゝ
『手の傷が治ってよかったわね?』
『うん』
『はい、ミトン。ほどけたとこを編み直して、洗っておいたわよ。ミーコちゃんのお気に入りのミトンだもんね』
『うん。ママ、ありがとう』
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「ね、クロ?」
「なーに? テブ」
「ミーコちゃんのママに編み直してもらって、前よりかわいくなったんじゃない?」
「あら、そうかしら? テブもかわいいわよ。おほほ……」
おわり