君がいなくなった世界

Prologue

「はぁ……」

日が沈んだ薄暗い部屋の中で、今日も私はスマホをみてため息をつく。

出ないと分かっていながらも、電話に出てくれた時と同じように彼氏に、正確に言えば彼氏だった人に電話をかける。

スピーカーにした後、『川野翼』と書いてある黒っぽい、でも明るい画面をボーッと見つめる。

大好きな君が、手が届かないほど遠い場所に行った君が、もしかしたら、今日は電話に出てくれるかも。
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