君がいなくなった世界
「うん。行ってらっしゃい」

そう言って、優しく微笑んでくれた。

「ありがと」

私も微笑み返して、翼の元に向かう。

顔の部分の襖みたいなのを開ける。

その中から見えたのは、透明な板の奥の白い布。

「え……?」

なんで……?なんで見れないの?

トラックの事故だったから?

この中にいる人が翼ってことを認めたくない。

こんなんじゃ、認めたくても認められないよ。

違う人かもしれないんだから。
< 21 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop