君がいなくなった世界
「そうかもしれないけど、大好きな人と一緒にいたいって思うのはおかしいことなの!?」

「ももがいなくなると今度は私たちが辛いんだよ。私だって大好きなももと一緒にいたい!」

茜が珍しく大声を出した。

びっくりした。

「でもっ!でもっ」

『私は翼と一緒にいたいの!』

その言葉が口から出る前に、さっきまで吹いていた涼しい風とも、中庭で感じた暖かい、でも涼しい風とも違う、柔らかくて優しい、でも力強い、翼が側にいる時の心地良さと同じような、そんな風が柵を背に向けた私の後ろから吹いた。
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