わたしたちはリスタート可能!?


意を決してドアノブを回しかけた途端、それは勝手に勢いよく回りだした。


ちょっと待って!

「うわあああっ!」

どってん。

急に開きだしたドアに思い切りおでこをぶつけ、見事にしりもちをついてしまった。初対面なのに恥ずかしすぎる……。

「す、すみません」と頭上から不安げな声が降ってきた。そりゃあ相手も戸惑うはず。だいじょぶですう、とおでこを押さえながら声を絞り出す。

顔を上げると視線がぶつかった。

と同時に全身に寒気が広がっていくのを感じた。


「え……」
「まじか……」


彼もわたしと同じ表情をしていた。





どどどどうしよう……⁉

わたしは気が付いたら走り出していた。せっかく上ってきた階段を滑るように降りていく。

痛い。ぶつけたおでこも、お尻も、そして胸の奥の傷跡も。





運命の相手――わたしの同棲相手は、唯一の元カレでした。



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