殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

マドレーヌ様の憂鬱

『恋がしたい』

 そ、空耳かしら……?
 時が止まったように感じましたわ……


『胸がときめいたり、相手を考えると切なくなったり……と言う恋を将来の為にしておきたいのだよ。』

 将来の為……将来というか()()()()のためにそれは必要不可欠ですけども……!

『わたくしとカテリーナ様を婚約者候補から外してくださりませんか?』

『なぜだ?』

 婚約者候補をキープしたまま恋をしたいだなんてカテリーナ様に失礼でしょう……少しばかりお灸を据えてあげなくてはいけませんね。

 わたくしの家は王家に次ぐ公爵家と言う家柄で、ウィルフレッド殿下と同じ歳ですので婚約者候補に選ばれました。
 もう一人の候補の方は侯爵家で宰相のご令嬢カテリーナ様。


 カテリーナ様は少しばかり……鈍感? と言う感じではありますが、愛情を持って育てられたという本当に本当に可愛らしい、例えるのならば妹のような感じです。


 殿下はもしかしなくても、この可愛い子にも冒頭のような『恋がしたい』なんてバカな事を言ったに違いありません!


 わたくしは殿下の事を幼馴染にしか思ってませんからね。候補から外されるのは願ってもない事です。


 貴方ご存知ですか……。婚約者候補との交流会(お茶会)という名の呼び出し……


 この交流会(お茶会)をするためにわたくしは月に一度、カテリーナ様に至っては()()呼び出してますのよ?

 私とは勉強会を、カテリーナ様とは純粋にお茶会を楽しんでいます。

 いくらわたくしとは学園で顔を合わせてるとは言え、頻度がおかしいでしょう?
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