殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
 学園を卒業し執事見習いの為、他家へ数年預けられることとなった。
 お嬢様と遊んでいる際に、しばらくお邸を離れますと、挨拶をした。
 お嬢様はいやだ。と泣き出してしまった。
 奥様に、私が居なくなる理由を説明されてもいやだぁ~と泣き止まない……

 よしよしと頭を撫でると、私に抱きつき

『ずっと一緒だってゆっだ、ぐすっ。嘘つききらいだもん。ぐすっ。いなくなったら、もうあわないもん。ぐすっ。』


『あらあら。困った子ね……ノーマンごめんなさいね。こらリーナ離れなさい、お菓子を取り上げるわよ?』

 奥様がお嬢様を私から引き離そうとしました。


『いいもん。ぐすっ。いらないもん。お菓子も、お茶もいらない。お稽古も頑張るから、ノーマンいなくなるのは、やぁ~ダメなの』

 お嬢様は泣き疲れてスイッチが切れて寝てしまわれました。



 結局、旦那様と奥様に今出ていかれると、お嬢様に恨まれてしまうからいかないでくれ。と言われました。普段は聞き分けがいいのに、ノーマンの事はお兄様のように思っているのね……我儘に付き合ってくれてありがとう。と奥様からお言葉をいただきました。

 次の日お嬢様は満面の笑顔で私に抱きついてきます。

『我儘言ってごめんなさい。いたくない嫌がらせならしても良いから、リーナを嫌いにならないで! 何しても怒らないから、ノーマンの事、好きだもん』


 バカだなぁ……嫌いになることなんて一生ないのに。貴女に死ねと言われたら、私は喜んで死にますよ? それくらい大事に思っているのです。頭を撫でると嬉しそうな顔をした。


『言いましたね? 母はしかと聞きました。ノーマン、この子が悪い事をしたらお菓子を取り上げて、まずい紅茶を出してもいいです。課題を増やしても、何しても文句はないわよね、リーナ』


『……うん。ノーマンが居てくれるなら良いよ。ずっとずっとず~っと、リーナと居てくれる?』

 無垢な顔で私を見つめてきます。


 はい。ず~っと一緒です。と返事をしたら約束ね! とお嬢様は言いました。


 
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