殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

「リーナ……クリームがついている」

 呆れた様子のブラッド。

「えっ! どこどこ?」

 右の口端あたりを指で押さえると


「違う、逆だよ」

 と言ってクリームを親指で取ってくれました。

「ありがとう、ブラッド」

 微笑み礼を言うカテリーナ。


「ん。甘すぎるなこのクリーム……」

 親指でペロリと舐めて文句を言います。


「クリームは甘くないと、美味しくないでしょう?」

 まるで家にいるようなティータイムでした。


 親指でクリームを舐めるブラッドに、ちょっとかっこいいなと思ってしまったのは内緒です。

 少し制服のタイを緩めてリラックスし、青みを帯びた黒い髪の毛に紫の瞳が同じ歳とは思えないくらい、大人びています……ズルイ。


「何かついてる?」

 テーブルに頬杖をつくブラッド。

「お行儀が悪いですよ」

 注意をすると、学園というものはそういうものだよ。と教えてくれた。

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