殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
「マドレーヌは恋をした事があるか?」
今日はマドレーヌとの勉強会だ。教え方が上手いのでお陰で成績も上位だ……情けない。
「えぇ、ございます」
えっ! あるのか! まさか……私の事か?
ドキドキしながらマドレーヌを見る。
「幼い頃に、従兄弟のお兄様に……ふふっ。淡い恋心でしたわね」
……まさか私ではないと思わなかったので、多少ショックを受けた。
「私は恋がしたいのだ……」
突然の事で驚いたマドレーヌは、微笑みを浮かべたまま止まっている……
「聞いておるか?」
「え、えぇ。勿論……そうですか恋を……」
「胸がときめいたり、相手を考えると切なくなったり……と言う恋を将来の為にしておきたいのだよ。マドレーヌどう思う?」
戸惑ったような、困ったような顔をするマドレーヌ。
「殿下がそう仰るのならば、そうなのかもしれませんわね。お止め致しません。なので、わたくしとカテリーナ様を婚約者候補から外してくださりませんか?」
「なぜだ?」
「相手を思いやるには私たちも、恋をするべきですわね。婚約者候補では恋が出来ませんもの。殿下が恋のお相手と結ばれたいと思った時は、私たちがネックになりますもの」
にこりと音が聞こえるほどに美しくほほえむマドレーヌ。
「それも……そうだな。では婚約者候補から外すよう母上に言っておくよ」