病の君へ
夢の中の実香も泣いていて。

思わず駆け寄って抱きしめる。

抱きしめられる。

思い込みかもしれないけど、温かさも感じる。

「久しぶり」

「え、空……?」

こちらを見た実香は、俺の目を見て言った。

「なんでっ……。なんで急にいなくなっちゃうの……」

「ごめんって。まさか信号無視のトラックに轢かれるとは思ってなかったから」

「寂しいよ。毎日つまんないよ……。空とデートしたい。テレビ見たい。ギューってして寝たいのに……」

しゃくりあげながら言う実香。

聞いていて心が痛い。
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