病の君へ
だってそれは、俺も同じだから。

「結婚したかったな、実香と」

……なんて言えない。

「私も空と結婚したかったのに。プロポーズ、待ってたのに……」

「え、心読めるの?」

「思いっきり口に出してたけど」

「まじか。……あ!」

自分の洋服ダンスの手前に婚約指輪をしまったのを思い出した。

「どうしたの?」

「実香、起きたら俺の洋服ダンスの下から2番目の引き出し、開けてみて」
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