夢の中でもう一度
ミケと行くデートは決まって公園だった。

大きな公園に出かけ、手を繋いでただ散歩する。

疲れたらベンチか芝生に座ってお喋りしたり、昼寝したり。

夕焼けが街を飲み込んだらそこで現地解散。

そんな穏やかなデートもミケとなら楽しかった。

むしろ満たされていく自分がいた。

2人で暮らすことになった時、部屋探しに苦労した。

“ベランダが広い所”という条件は建築構造上からなのか、純粋に人気からなのか、値段が張った。

結局、予算より3万高い家賃のアパートにはとても見晴らしのいいベランダがついていた。

それからベランダは2人のデートスポットの1つになった。

春には桜を見ながら昼寝するのが好きだった。

夏は近くの川で水遊びしてゴロゴロした。

秋には美味しいものを食べてそのまま眠った。

冬はこたつで寝て風邪ひいた。

夜には僕の手の中にすっぽり収まって寝るミケ。

“ハルの隣が1番落ち着くし、寝れる…”

そう言いながら夢の中へ入っていくミケ。

たまにふふっと寝ながら笑う。

その夢の中に僕はいるのだろうか。

寝ることが大好きでいつも急に眠るから、たまに“本当に起きるのか”なんて心配して。

“明日起きたらいなかったりして”なんて思うから、眠ることを諦める日があることをミケは知らない。

いつからか僕の生活はミケ中心で回ってて。
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