夢の中でもう一度
僕は今日もミケのいない世界を惰性で生きている。

ミケと何度も訪れた公園に僕はまた一人で訪れた。

“どうしようか。ミケ。”

ボソッ呟いた声は公園の熱気にかき消された。

ベンチにうな垂れる僕の前に小さな影が現れた。

ニャー

まるで僕に同情するように子猫は僕の足に擦り寄った。

薄い色素の毛並みがミケのミルクティー色の髪の毛によく似ている。

そんな子猫だった。

周りに親や仲間がいる気配はなく、飼い主が居そうな感じもしない。

“おまえ、独りか?”

撫でながら問いてみた。

もちろん返事が帰ってくるはずもない。

変わりに子猫は喉を鳴らした。

“帰るとこはあるのか?”

そう聞くと子猫は僕の手をかわし、草むらに入った。

ついて行くと草むらの奥に段ボール箱が置いてあった。

❲可愛がってあげてください。❳

その言葉から捨てられたことが容易に想像できる。

“ああ、おまえ、独りになったのか。”

僕は子猫に同情した。

いや、僕自身にしたのかもしれない。

いつしかミケも猫を飼いたいと言っていた。

そのためにペット可のアパートにした。

今この場にミケが居れば即決で飼うと言い切るだろう。

僕は子猫を抱き上げた。

“帰ろうか、ミケ。”

ミケは鈴のような声で鳴いた。
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