世界で一番大嫌いな君へ
(俺は、ずっとましろのことが好きだったのに……!)

初めて会った時からずっと、十年以上ましろを想ってきた。それが突然、ましろが大学へ行った四年間の間に現れた人物によって片想いを踏み潰されたのだ。悔しさ、そして行き場のない悲しみや怒りから叫びたくなる。

「ましろなんて、大嫌いだ!!」

泣きながら、まるで小学生が喧嘩で言うような言葉を大声で言う。ましろに幸せになってほしくない、笑ってほしくない、俺の方がずっとましろを知っている、そんなグチャグチャの思いを抱えたまま、凌は泣き続けた。



「ましろちゃん、大学を卒業したら歳上の彼氏と結婚するんですって」

田舎では、おめでたいことも悲しいことも近所から町中へ広まりやすい。暇を持て余した年配の人が話を勝手に広めていくからだ。数日のうちに、ましろが結婚をしてそのまま神奈川で生活することは町のほとんどの人が知っている話となっていた。そして、その話を嬉しそうにみんなが話しているのを見ると、凌は胸がナイフで抉られたかのように痛む。
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