世界で一番大嫌いな君へ
恋愛小説や少女漫画の多くでは、幼なじみ同士は最後は結ばれることが多い。そのため、凌は心のどこかで期待していたのだ。告白は成功し、ましろと幸せになれる日々が待っているのだということを……。

(婚約破棄されたらいいのにな……)

イライラしながら凌は思う。自分以外の男と幸せになってほしくない、ましろを幸せにできるのはきっと自分だけ、そう強く思っていた。

ましろは神奈川に戻った後、結婚式の準備を婚約者と始めたようだ。インスタによく「今日はケーキを決めました!」など幸せな投稿がされていくからである。

「くだらね」

凌はすぐにインスタを閉じ、最近暇つぶしにダウンロードしたゲームを始める。ましろのことを少しでも忘れようとダウンロードしたものだ。だが、あまり効果はない。

(結婚式、俺も出なきゃならないのか?嫌だな。ましろのウェディングドレス姿を参列者として見るなんてさ……)

どうしてもっと早くきちんと想いを伝えなかったんだろうという後悔と、「月は綺麗ですね」の意味がわからなかったましろが悪いという二つの思いで心がいっぱいになってしまう。
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