世界で一番大嫌いな君へ
ましろに対する涙がようやく枯れたと想ったら、今度はため息ばかりが口から出て行ってしまう。その時、部屋のドアがノックされた。

「凌〜?今から掃除機かけてもいい?」

母の声に凌は「自分でするよ」とベッドに寝転がりながら返す。すると、ドアの向こうからため息が聞こえてきた。

「あんた、いつもそう言って動くの遅いじゃない。掃除の邪魔になるから出てって」

母は勝手に部屋に入るなり、掃除機をかけ始める。凌は文句を言いたかったものの、何も言えず、外に出るかと思い靴を履いて外へと出た。

「暑……」

夏がもうそこまで近付いてきている。ムワリと湿気を含んだ風が頰を撫で、太陽の熱が少しずつ暑くなっていく。涼しい家の中に戻りたいと一瞬思ったものの、せっかく靴を履いたのだからと凌はブラブラと近所を散歩することにした。

家を歩いて数分もしないうちに、少し大きな公園が見えてくる。ここはよくましろと保育園が終わった後、遊んだ場所だ。ましろはブランコが大好きだった。大嫌いな人間のことを、こんなにも凌は考えてしまう。
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