世界で一番大嫌いな君へ
「あれ?」

公園の前を通り過ぎようとした時、ブランコに女性が座っているのが見えた。金髪の髪を持った人物は、この町に一人しかいない。

「ましろ?」

凌が声をかけると、ましろはゆっくりと振り返る。その目は赤く腫れており、ましろが先ほどまで泣いていたとわかった。

「何でここにいるんだよ?お前、神奈川で結婚式の準備してるんじゃねぇの?婚約者はどうしたんだよ?何で泣いてんだよ?幸せでいっぱいですってインスタに投稿してたじゃねぇか」

どこか刺々しい口調で凌は訊ねる。すると、ましろは「凌ちゃん!」と言いながら駆け寄ってきた。その大きな瞳から、また涙が溢れていく。

「どうしよう……私、私……誰よりも大事な彼を、傷付けてしまったの……!」

ましろは泣きながら話す。凌は戸惑ったものの、凌の大きな手はましろの頭を優しく撫でた。刹那、心の中に抱いてはいけない感情がまた顔を出す。

「彼は、私よりずっと大人で、だからこそ、彼に相応わしい人でいたかった……!彼と釣り合える人になりたくて……。でも、彼は「そんなのいらないし、望んでない」って……」
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