世界で一番大嫌いな君へ
「凌ちゃんも、就職試験頑張ってね!」

ましろはニコリと笑う。顔立ちや体が大人になっていっても、笑顔だけは昔から変わらない。キュンと凌の胸が鳴った。

その後、ましろは友達に呼ばれて凌の前からいなくなってしまった。だが、凌は顔を赤くしたままその場から動くことができなかった。

大好き、その言葉が凌の中でいくつも生まれて溢れていった。



高校を卒業した後、凌は林業関係の仕事に就き、ましろは神奈川の大学へと進学した。

お互いに慣れない生活の中で、時間を見つけてはLINEや電話でやり取りをしていた。ましろを独り占めしているその時間が凌は大好きで、永遠にこの時間が続いてほしいと思っていた。……今日までは。

ましろはバイトやサークルが忙しいという理由で、大学に入ってからお盆やお正月も地元に帰ってくることはなかった。だが、ましろが大学四年生になり、講義やバイトが落ち着いたと聞いたため、凌はカフェでましろと会うことにしたのだ。
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