暗い部屋にただ一人(短編・完結)
それはどうやら、夕凪に約束を破られた時だったようだ。


「私はそういうのが嫌いなたちなの」


先に言えと言いつつ、それは嫌だという夕凪は、とても馬鹿なようであり、利口そうだった。


夕凪を訪ねてくる者の中には彼女の体が目当ての者が多かった。


彼女の色気だつ声を何度聞いただろう。


だけど、この男は違った。


「私に惚れたって本気にされやしないよ」


「知ってる」
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