サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
自室へと戻り、眼を休める。
さっき立ち上がった時、眼の奥から外へと押し出されるような圧迫感があるような気がした。
両手で目を覆う。
手の温度で少しでも休まる気がして。
三十分ほど休むと、視界がすっきりとしたように思える。
大丈夫そうだ。
内線ボタンを押す。
「特別塗装機のデザインサンプルの一覧表とそれに伴う機内食のメニューサンプルを」
「はい」
特別塗装機を新調するにあたって、機内食や販売グッズ、それにノベルティーなど合わせて商品化しなければならない。
「機内食の試食会はいつにしますか?」
「………来週半ばで調整してくれ」
「分かりました」
酒井から書類を受け取り、機内食のメニューから取り掛かることにした。
***
「本部長、自分そろそろ上がりますが、他に何かすることはありますか?」
「……いや、大丈夫だ。お疲れ様」
「お疲れ様でした、お先に失礼します」
二十時を回った頃、酒井が挨拶に来た。
本来であればもう少し早くに退社してもいいのに、俺が仕事をしているせいで帰り辛いようだ。
就航路線を増やすために、未発着の路線の開拓が目下の目標。
直行便でなくとも、空港さえあれば路線は開拓出来る。
ただ単に路線を増やすだけでは赤字になるため、それに伴う戦略が必須。
あらゆる資料を取り寄せ現状を把握することが重要だが、やはり現地に赴いて自分の目で見て感じ取らないとならない。
「日程空けるのが難しいか」
無意識に声に出てしまうほど、スケジュール帳に記された予定はびっしりと埋まっていた。