サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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「何なの~ッ!あの、態度っ!」
仕事を終え、帰る前に来月分の医師当番表を提出しようと思い、管理部へ向かっている時。
通路の端で具合が悪そうにもたれ掛かる人を見つけた。
すぐさま、駆け寄って声を掛けると、なんとその人物は財前さんだった。
どこか痛むのか、苦しいのか分からないけど、とても辛そうで。
背中をそっと摩って状況を判断しようと思った矢先。
『俺に構うなッ』ですって!!
呆れてものも言えないわよっ!
つい先日、疲労回復の点滴をしたばかりだから心配になったのに。
何、あの態度!
『心配かけてすまない』だなんて言葉を期待してたわけじゃないけど。
せめて、『ありがとう』くらいあってもいいんじゃない?
あぁ~頭にきちゃうっ!
既に二十三時を回ってて、遅番だって分かってるはずなのに。
『もう帰るから』って、駐車場の方へ振り向きもせずに行ったのには、さすがの私もカチンと来た!
そりゃあ、友人でもないし、特別親しいってわけじゃないけど。
それでも、既に二回送って貰った仲だしさ。
こんなに可愛らしい女医が一人で深夜に帰るんだから、同じ方向なの知ってて『送るよ』の一言も無いわけ?
ホントに頭に来ちゃうっ!
カツカツとヒール音響かせながら京急線のホームを歩く。
終電が午前零時過ぎだから、まぁ間に合うんだけど。
自販機で買ったホット珈琲に口をつけ、気を落ち着かせる。
でも……。
あんな表情、初めて見た。
『疲れが溜まってるだけ』とは言ってたけど、過労からくる表情ではなかった。