サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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遅番勤務の今日は十三時出勤のため、コンビニで購入した食事(私にとっては昼食:世間一般では夕食)を手にして出勤する。
京急線の改札口を出てターミナル内に入ると、とある人物に視線が留まった。
「財前さんっ」
思わず駆け寄ってしまった。
人目も憚らず大きめな声を出してしまったことを後悔しても遅いんだけど、混雑する保安検査場前でも私の声が届いたらしい。
駆け寄る私の方に彼が振り向いた。
「……具合はどうですか?」
『こんにちは』でもなく『お疲れ様です』でもない。
突然駆け寄って『具合はどうですか?』って、それはないでしょ……と思ったところで時すでに遅し。
「もう大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
顔色は悪くない。
額に汗も掻いて無いようだし、手足に異常も無さそうだ。
「ちょっと失礼しますねっ」
「え」
腕時計をしてない方の手を取り、すぐさま手首から脈拍を取る。
「何の真似ですか」
周りにいる人の視線を感じながらも、指先に伝わる脈に集中して……。
「……正常ですね」
「だから、先ほど大丈夫だと言ったと思いますが」
鋭い視線が突き刺さる。
仕事の手を止めさせてしまったのは仕方ないとして、人前で堂々とすべきことではないことくらい分かってる。
だけど、計らずにはいられなかった。
「ごめんなさい。職業病なので、気にしないで下さい」
「………」
「無理はなさらず、お大事になさって下さい」
怖~いっ。
見たことも無いような冷視線に耐えきれず、逃げるように踵を返した、その時。
「ちょっと」
腕を掴まれ、クリニックとは反対方向に歩かされる。