サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
夕食、入浴も済ませてからマンションを訪れたから、診察が終われば帰宅して寝るだけ。
退社は大抵二十二時を回るから、ソファーに横になってスマホで海外ドラマを観ていたら、だんだんと瞼が重くなって来た。
どうしよう。
このままだと寝落ちてしまいそうだ。
催促すると機嫌が悪くなるからあまりしたくないんだけど、今日はもう限界。
昨日から生理が来てて、体が怠くて眠気が酷い。
『何時頃になりますか?』
挨拶の言葉もない、業務連絡状態のメールを送るとすぐさま着信になった。
「はい、環です」
「三分くらいしたら着く」
「え?」
「今、駐車場に着いたから」
「……分かりました」
何なの。
退社する時に連絡くらい寄こしてくれたっていいのに。
慌てて準備をする。
珈琲と温湿布用のタオルを。
キッチンで準備をしていると、彼がリビングへと姿を現した。
「こんばんは、お疲れ様です」
「お疲れ様」
『お帰りなさい』ではない、業務挨拶。
そして、帰宅するや否やすぐさまジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めて、Yシャツの袖を捲って……。
「失礼します」
淹れたての彼専用の珈琲をテーブルに置き、ソファーにもたれ掛かる彼の診察を行う。
「血圧や脈拍は異常なしです」
診察を始めて一カ月ほど経つけど、血圧や脈拍、心音や腸の具合(触診)も異常はない。
手足に痺れも無さそうだし、顔色も正常だから臓器の異常では無さそうだ。
だけど、完全に健康体そのものというわけではないはず。
だって、毎日診てるから分かることもある。
「少し触りますよ?痛みがあったら言って下さいね」
やっぱり……。
ここが少し腫れてる気がする。