サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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予定より少し早めに仕事を切り上げ、とある場所へと向かう。
二十三時ちょうど。
日中の賑やかさに比べたらだいぶ静かな感じもするが、それでも空港を利用するお客様は結構いる。
仕事後に空港内でデートを楽しむ恋人たち。
家族と帰国を楽しみにしている人たち。
仕事で出国待ちのサラリーマン。
海外から入国された人々。
そして、空港内で働くスタッフたち。
そんな日常を感じ取りながら、第三ターミナルの一階にあるエントランスプラザに降り立った。
ほぼ中央に位置している空港病院の受付窓口には『受付終了/Close』と書かれたプレートが掛けられていて、心なしか院内の照明が少し暗くなっているように感じる。
そんなクリニックの入口ドアをくぐった。
「本日の診療は終了しました~~」
ドアをくぐったことで来院を知らせる音が鳴り、それを聞いた医師が院内奥から叫んでいる。
「We apologize to our customers for any inconvenience.Today's treatment is over~~.」
(訳:お客様にはご不便お掛けし申し訳ありません。本日の診療は終了しました~)
俺が何も言わないから、来院したのは日本人ではないと判断したらしい。
英語で叫んでいる。
「財前ですっ」
「財前さん?!」
少し声を張ると、驚いた様子の環医師が薬箱を手にして駆けて来た。
「まだ終わりそうにない?」
「あ、いえ、もう終わりますけど……?」
突然の俺の来院に戸惑っている様子。
「今日はここで?」