サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
「……ありがとうございますっ」
「あそこに入れればいいのか?」
「……はい」
足下に置かれている外装から同じ箱を取り出し、陳列する。
「他には?」
「もう終わりです、助かりました」
脚立を片付け終わると、彼女は白衣を脱ぎ、カーディガンを羽織る。
「戸締めとかは?他にすることはあるのか?」
「いえ、もうしてあるので、あとは電気と施錠をすれば」
「じゃあ、外で待ってる」
「……はい」
先にクリニックを出て、腕時計で時間を確認する。
二十三時十五分。
「お待たせしました」
空港内は快適な温度設定に保たれているが、外はまだ暑い。
九月上旬とはいえ、まだまだ残暑が厳しい季節だ。
車に乗り込み、普段とは違う方向へと向かう。
関係者のみが駐車することを許可されているその場所に車を停める。
「降りるぞ」
「……はい」
「あ、手ぶらで頼む」
「え?」
「持ち込み厳禁だから」
「……何だかよく分かりませんが、置いて行けばいいんですね」
「ん」
彼女は手にしたショルダーバッグをシートの上に置き、車から降りた。
俺も車から降りて、キーレスで施錠する。
「財前さん、……もしかして」
「フッ、……その、もしかしてだ」
「ええええええええっ!!」
彼女の視線の先には、通常一般人が入ることの出来ない建物が聳え立っている。
今日は事前に特別に許可を貰っておいたのだ。
……彼女との約束を果たす為に。