サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
香『Tokyo tower.HKE 321on C.』
(訳:東京タワー、HKE 321は誘導路Cにいます)※誘導路とは、離陸開始ポイントへ向かうための道
塔『HKE321.Tokyo tower. Good evening.No.1. Taxi to holding point C-1.』
(訳:HKE321、こんばんは、東京タワーです。離陸の順番は一番目です。C-1で停車して下さい)
香『Good evening. Tokyo tower. Taxi to holding point C-1. HKE321.』
(こんばんは、東京タワー。HKE321はC-1で停止します)
アットホームな雰囲気の管制室が一瞬で緊張感に包まれた。
俺は環医師に分かるように人差し指を口元に当てる。
そんな俺を見て、うんうんと何度も頷く彼女。
その瞳はより一層輝き出した。
少しの間静かにしていたが、離陸時間にはまだ数分あるため、通信は途切れたようだ。
寺脇さんとアイコンタクトを取り、彼女の腕を掴んで邪魔にならないように左席のモニター前に。
「今さっき通信があった機体がこれ。HKEは香港エクスプレス航空で機体番号が321。で、国際線は燃料が多い分機体が大きく重いから滑走路を長く取る必要があるため、C-5より滑走路の外側の端に位置しているこのC-1に移動させたってこと。国内線ならC-5からでも離陸可能だが、国際線だと大抵C-1から離陸する。……ここまではOK?」
「………うん」
「さすが、財前さん!完璧な説明~」
「次来る時は珈琲でも奢ります」
「やったぁ~」
モニター画面と滑走路に移動中の航空機を何度も見返している彼女。
そんな彼女の頭を軽くポンポンと撫でる。