サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
ハ『Konbanwa.Tokyo tower. HAL332. on E.』
(訳:こんばんは、東京タワー。HAL332は誘導路Eにいます)
塔『Konbanwa. HAL332. Tokyo tower. Taxi to holding point C-1. Hold short of RWY34R. No.2.』
(訳:こんばんは、HAL332、東京タワーです。C-1に向かって、ランウェイ34Rの手前で待機して下さい。離陸の順番は二番です)
ハ『Copy that. HAL332. Proseed to C-1. Hold short of RWY34R. And we sequence NO.2.』
(訳:分かりました。C-1に進んでランウエイ34Rの手前で待機します。私たちの離陸は二番目です)
通信音がし、彼女の口元に手を当てた。
彼女は壊れたおもちゃみたいに小刻みに顔を立てに振っている。
腕時計で時間を確認すると、二十三時五十一分。
定刻まであと四分ある。
俺は時計を指差し、寺脇さんに再び合図を送ると、親指と人差し指を輪にしたOKサインが出た。
「定刻が二十三時五十五分だから、あと四分あるからざっと説明するな」
「……はいっ」
再びモニターに映し出されたマークを指差して説明する。
「このHAL332は、さっき説明した香港エクスプレス航空と同時刻の離陸予定なんだけど、先に通信した香港エクスプレスの後に同じ離陸開始ポイントのC-1から離陸予定な。HALはハワイアン航空で機体番号が332。現在位置が誘導路のEにいるから、C-1に向かって待機する指示が出されたってわけ。……ここまではOK?」
「………うん」