サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

真剣な表情でモニターに記されている航空機を見ている。

「日中だと、この離陸予定で待機してる機体の数ももっと多いし、着陸予定で上空を飛行中の機体も表示されてるし、今は減便で少ないけど、本来はこの機体マークがもっとうじゃうじゃあるよ」
「えっ?!」
「滑走路も今はCのみだけど、悪天候でなければ、ABCDと四本あるし、それぞれに離陸、着陸、離陸、着陸と交互に滑走路を割り当てるから、ここは戦場と化してるはず……ですよね?」
「その通り!」
「上空で旋回して着陸態勢に入れるまで列に並んでるし、地上でも同じでこの線の部分の誘導路に何機も待機してることもざらだから」
「………今度からもっと感謝して乗ります」
「寺脇さん、山口さん、……尊敬されてますよ」
「可愛い彼女さんね~」

山口さんの『彼女さん』という言葉に反応した彼女は、再び俺の袖を軽く引っ張る。
冗談だってのに。

山口さんが片手を上げた。
定刻になるらしい。
俺は再び彼女の口を手で覆った。

塔『Tokyo tower. HKE321. Wind 040 at 3. RWY34R. Cleared for take off.』
(訳:HKE321、東京タワーです。風は方位040から3ノット(1.5m/s)です。ランウェイ34Rからの離陸を許可します)

香『HKE321. RWY34R. Cleared for take off.』
(訳:HKE321はランウェイ34Rから離陸します)

塔『HKE321. Contact DEP 120.8MHz.』
(訳:HKE321は東京デパーチャ―に120.8MHzにコンタクトして下さい)

香『120.8MHz. HKE321. Good-bye. 』
(訳:120.8MHzにコンタクトします。さようなら)

塔『Good day.』
(訳:いってらっしゃい)

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