サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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初めて管制塔に足を踏み入れた。
以前、展望デッキで『管制塔が見たい』とおねだりしたからだと思うけど。
本当に叶えてくれるとは思ってなかった。
てっきり、冗談で会話したひとコマだと思ってたのに。
初めて見た管制室は、そこまで到達するのに幾つもの関所みたいなチェックポイントをクリアしないと入れず、本当に特別な場所なんだと実感した。
三百六十度の大パノラマから、あちこちに点在する明かりが心を奮わせるイルミネーションで。
滑走路の両脇に点在する明かりは、航空機にとっては人生の道標なんだろうけど。
その明かりを目にした時、心の奥がぎゅっと抓まれた気がした。
私の人生も、あんな風に真っすぐと進める道標があるのだろうか?
素敵な管制官の人たちとの他愛ない会話をする財前さんの新たな一面を垣間見て、少しだけ親近感が湧いた。
高校野球を観るような人には思えないのに、管制官の息子さんの話題を自ら振ってるあたり、この人にも意外な一面があるんだなぁって。
だけど、それにもしても、本部長だからなのか。
毎日空港にいるからなのか。
管制官と操縦士とのやり取りを完全に熟知していた。
趣味が無線なのかしら?
それとも、管制官の彼女がいたとか?
どうにもこうにも納得がいかない。
レーダーのモニター画面と管制官と機長のやり取りだけじゃチンプンカンプンで、財前さんが通訳してくれなかったら私一人蚊帳の外だった。
地上に戻り、車に乗り込んだ私は、彼の本性を暴こうと鋭い目つきで見据えた。