サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

血圧が低めで、脈拍が速い。
顔や首回り、手にも蕁麻疹がみられ、典型的なアレルギー症状だ。

「突然、倒れました?何か、その前に無かったですか?」
「うーん、少し咳き込んでたかな。後はお腹が痛いからトイレに行って来るって言って、二~三歩歩いた所で倒れたので…」

行動履歴と症状を記していると。

「どんな具合だ?」

聞きなれた声が降って来た。
声のする方を見上げると、心配そうに腰を下ろす財前さんの姿が。

「アナフィラキシーショック状態で、アドレナリン注射済みです。搬送の手配もしてるので、もうじき到着すると思います」
「了解。周りのお客様の対応に当たるな」
「お願いします」

彼は店長に声を掛け、搬送されるまでの間、協力要請をした。

「少しチクっとしますよ~」

血管を確保するための点滴を施す。
自動計測の血圧計を装着したまま、聴診器で心音を確認する。
稀に心停止することもあるからだ。

「念のために酸素マスクをしておきますね」
「ありがとうございますっ」

涙目の恋人の背中を摩る。
突然目の前で恋人が倒れたら、心中穏やかではないのは当然だ。

「大丈夫ですよ、バイタルも落ち着いてますし、少し血圧が低めですけど、直に落ち着きますから」
「はい……」
「これからご旅行ですか?搭乗予定ならキャンセルしないと」
「彼の実家に行って来た帰りなので」
「そうなんですね」

その後、到着した救急車で都内の病院に搬送された。

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