サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
眉間にしわを寄せた彼が、機長に背を向けて顔を寄せた。
そして、さりげな~く私の頭に手を乗せ……。
(おいっ、……何の真似だ)
(彼がフライトで来日する度に口説かれて、いい加減何とかしたいんです)
(だからって、俺を巻き込むことないだろっ)
(お願いしますぅぅぅぅ~)
(………貸しだからな?)
(うんうん)
(……俺の名札を取れ)
(名札?……はい)
彼のジャケットの襟を触るふりして、素早く名札を取ると。
「내 여자에게 손을 내놓지 마라.」(訳:俺の女に手を出すな)
財前さん、あなたは何者ですか?
何て言ってるのか、さっぱり分からないけど、かなり効いてるみたい。
悔しそうな顔つきになったもの。
財前さんのジャケットの裾をほんの少し引っ張ると。
「Go away.」(訳:失せろ)
ちょっと苛立った感じを醸し出して放った言葉に、さすがにイケメン機長さんも観念したみたい。
CAさんに肩を叩かれている。
「ほら、今のうちに行くぞ」
「あ、はいっ」
財前さんに腕を掴まれ、やっと機長から解放された。
他のスタッフの目がある中、彼に連れられエレベーター乗り場まで来ると、無言で掴んでいる手が静かに離された。
「ありがとうございましたっ」
「………」
怒ってる。
彼の背中がそう言ってる。
隣にいる酒井さんに視線を送ると、声を殺して笑ってるし。
(た・す・け・て・く・だ・さ・い!)
(む~り~!!)
(ええええええええええ~~)