サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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「ごめんなさい……」
財前さんをフィアンセだと口走ったことで、ASJ社内だけでなく、瞬く間に第三ターミナル内に知れ渡ってしまった。
改めて、実感。
彼は御曹司であり、女性の憧れの存在なのだと。
非番の今日は、日中に買い物や掃除を済ませて、彼の家で彼の帰宅を待ちながら、眼病に関する医学書を読み耽っていた。
そして、二十二時半を少し回った頃、いつもより少し早めに帰宅した彼。
リビングで勉強している私を物凄く鋭い眼光で見下ろしている。
「どうするつもりだ」
「………ごめんなさい」
「謝っても何の解決にもならないぞ」
「………すみません」
彼は『はぁ…』と溜息を吐きながらソファーに腰を下ろした。
『彼氏』ではなく『フィアンセ』と言ったのがまずかったようだ。
今日の昼間に彼からメールが送られて来た。
『両親にまで話が行ってる』と。
「ご両親は……何て?」
恐る恐る彼の顔を覗き込む。
腕を組んで、俯き加減で考え込んでる。
「母親が式場の手配をするそうだ」
「えっ……」
どどどどどど、どっ、どうしようっ?!
断る口実で嘘を吐いたって謝罪しに行った方がいいよね?
「私が全責任負います!ご両親に謝罪に行かせて下さいっ!」
こんな大事になるとは思ってもみなかったぁぁぁ……。
後悔してももう遅い。
彼の足下に膝をつく。
「本当にごめんなさいっ。許して欲しいとは言いません。……私に出来ることはありますか?」
少し時間をおいて、『破局した』と言いふらすとか?
別の分院に移動願い出した方がいいだろうか?
混乱する頭で必死に解決策を探していると。