サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
いつからだろう?
自分でもよく思い出せない。
自然と彼女を目で追うようになったのは。
この感情が『好き』なのか、『有難い』だけなのか、分からない。
言えることは、彼女が公私ともに味方だということだ。
以前の俺の好みはモデルのような綺麗系で、ついつい綺麗なCAをランク付けしたりもしてたが。
彼女と過ごすうちに好みが変わったのか、海外の綺麗なCA見ても何とも思わなくなった。
医療行為をしている時の彼女は別人になったかのように真剣な眼差しで、男顔負けに怯むことなく対応する。
何より、常に全力で対応してるのが分かるから、安心感もあるし。
なのに、処置が終わった途端にキュートな笑顔が弾けてて。
そのギャップが堪らなく可愛いと思ってしまった。
更に俺の過去を知っても、蓋をするでもなく、見ぬふりをするでもなく。
そっと寄り添ってくれて……。
誰にも言えず、ただひた隠しに過ごしたこの四年。
彼女はその四年も込みで、財前 郁という人物を向き合ってくれている。
そんな貴重な存在の彼女に対して、何の感情も抱かないでいられるはずもなく……。
けれど、普通に生活していても失明する可能性も高いのに、こんな風に激務に追われていたら、そう遠くないうちに視力が低下するだろう。
そんな俺に、例えふりでも付き合わせるのは申し訳なくて。
燻り始めた心の感情に気付かないふりをしている。
せめて、社内の噂が落ち着くまでは……。