サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
「『恋人』という関係を通り越して、わけあって『フィアンセ』に昇格予定です」
「はっ、……何だそれ」
「自分でも驚いてる最中です」
事の流れを説明したら、爆笑された。
でもって、スマホで『ASJ』を速攻で検索し、財前さんの顔を確認してる。
「イケメンだな」
「……はい」
「しかも、お前の好みの顔だ」
「…………はい」
「優しいのか?」
「………はい」
「良かったじゃん」
「よくないですっ」
「何で?」
「好きでもない女に『フィアンセ』にでっち上げられて、社内いや空港中に噂されてて酷く迷惑被ってるし、嘘が嫌いなのにご両親にまで嘘つかないとならないし」
「お前、やっぱバカだな」
「なっ、……バカって、ひどい~」
「単純だって意味だよ」
「それも酷いです……」
自分の奥さんには凄く優しいのに、私含め他の女性スタッフには毒を吐く。
それがまた、溺愛だの盲愛だのと勝手に騒がれ、王子様キャラは十年経っても相変わらず。
「お前の『フィアンセ予定』って人」
「………はい」
「好きとか、少なくても好意がなきゃ、例えふりでも受け入れないだろ」
「………」
「それも、こんなに大手企業の御曹司が、自身のイメージだけならまだしも、御曹司の婚約者なら少なくても企業イメージに影響出そうだし、ご両親が黙ってないだろ。それを含めて否定したり拒絶しないってことは、案外お前のことを好きなのかもよ?」
「え?」
「冗談として受け流すなら、即座に対応してるはずだ」
「そうなの……かな?」
「だから、お前はバカなんだよ」
「うううううっ……」
言われてみればそうなのかもしれないけど、どうも腑に落ちない。
だって、あの彼が、……私をだなんて。