サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
血圧を測る彼女をじっと見据える。
「近いですっ」
「何か心境の変化でも?」
「っ……」
「フッ、……当たりらしいな」
手が一瞬止まった。
分かり易い性格だとは思っていたが、こうも簡単に引っかかるとは。
「浮気か?」
「はっ?」
「フィアンセがいるのに、昨日の非番に男と会ってただろ」
「ッ?!……何で分かるんですか?」
「え、マジで?」
「えっ?………??」
冗談が通じないというか。
別に本当の恋人のわけじゃないから彼女が誰と会おうが関係ないが……。
なんか、……ほんの少しだけイラっとする。
「へぇ~、デートして来たんだ?」
「デートじゃありませんよっ!医局の先輩に論文貸して貰うために会っただけです」
「へぇ~~」
「何ですか、その目」
「別に~」
わざと揶揄ってみたが、本当に素直すぎる。
反応が高校生なんじゃないかってくらい分かり易い。
まぁ、それが彼女のいい所でもあるんだけど。
胸に聴診器をあてる彼女を真っすぐ見据えて……。
「この後、俺とデートでもするか?」
「へ?」
「……嫌か?」
「い、いいえっ!!」
「んじゃあ、決まりな」
聴診器を耳から外したのを確認して、俺は腰を上げた。
「はい」
「酒井悪い。今日はこれで退社するから、あと頼むな」
「あ、………はい、分かりました」
酒井に内線して退社を伝えると、冗談だと思ってたのか。
彼女は驚いた様子でキョロキョロと視線を泳がせている。
「ほら、早く書け。……待っててやるから」
「……はいっ!」