サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
***
銀座の一等地にあるコインパーキングに駐車し、彼と共に訪れたお店は……。
「えっ、………あのっ」
アーチ状の正面入口のドアは高級感のある黒い観音開きで。
店内からの照明が間接照明となって荘厳さを醸し出す。
黒い格子状の鉄扉は、西洋の王宮の門を彷彿とさせ、そこをくぐるのにはかなりの勇気がいる。
「もしかして、このブランドは嫌いだったか?」
「へ?………いいえっ!嫌いだなんて、とんでもないっ」
「ならいいけど。……入るぞ」
「…………はい」
生まれて初めてこんなセレブしか入れないようなお店に足を踏み入れてしまった。
店内はどこもキラキラと煌びやかに輝いていて、上品な音楽が店内に流れている。
「いらっしゃいませ」
「予約した、財前です」
「ッ?!」
「お待ちしておりました。担当の者を呼んで参りますので、少々お待ち下さいませ」
夜会巻きにセットされた美人な店員さんが、店内奥へと。
どう考えても庶民が来れるようなお店じゃない。
芸能人やセレブが愛用する高級な宝石店だよ、ここ。
しかも、『予約』だって!!
まぁ、ウィンドウショッピング出来るような感じじゃないけど、さすがに動揺が隠し切れない。
「どんなデザインのが好きなんだ?」
「ふぇっ?」
「プッ、……パニクり過ぎ」
「だってぇ~……」
私たちが訪れたのは、ハリーウィンストン銀座本店。
ダイヤモンドの品質ならここが一番だというのは常識中の常識。
だからといって、自分がそのダイヤを手にする日が来るとは思ってもみなくて……。
「大変お待たせ致しました、担当の宮崎と申します」