サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
気付いたら、唇を奪っていた。
あまりにも無防備すぎて……。
歯止めが効かない。
上唇を甘噛みし軽く吸い上げると、Yシャツを軽く引く彼女。
それが、おねだりしているみたいで……。
唇を割って舌を滑り込ませ、逃げる彼女の舌を執拗に追い求める。
柔らかい唇を啄み、歯列を優しく舌でなぞる。
力が入らないのか、フラフラする頭を支え、もっと彼女が欲しくて腰を抱き寄せた。
「…んっ……ッ……」
息つぎの合間に漏れる声すら可愛くて。
ますます構いたくなる。
脳内を俺で埋め尽くしたくて……。
***
久しぶりのキスは、甘い余韻があまりにも心地よくて。
もう止めようと何度も試みてるのに、終わりどころが見つからない。
「チュッ……」
ついついリップ音響かせ奪いたくなる。
「もう煽るな」
「っ……」
やっとの思いで唇を離すと、僅かに唇が動いた。
「ん?」
何て言ったのか聞こえなかった。
彼女の口元に耳を近づけると……。
「す……きっ」
「ッ……」
初めて聞いた、彼女の気持ち。
はぐらかすことも、遠回しにするでもなく。
無駄な形容詞を省いて、ダイレクトに伝わるように。
だけど……。
俺の気持ちを伝えていいものか分からない。
明るい未来があるわけでもないのに。
彼女を幸せに出来るなら、迷わずに伝えれるのに。
今の俺では、口にした所で後悔しそうで……。
「ん、………知ってる」
彼女の気持ちを受け止めるくらいしか出来ない。
「もう遅いから送るよ」
「………はい」
俺からの言葉を待ってたのか。
ほんの少し寂しそうな表情をした彼女の額にキスを落とす。
ごめんな。