サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
夢は何歳になっても描ける世界
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「おはようございま~す」
「彩葉先生、おはようございます」
夢のような時間を過ごした翌日。
遅番勤務のため、昼過ぎに出勤する。
「何ニヤニヤしてるんだ。何かいいことでもあったのか?」
「……フフフッ」
「あぁぁぁぁっ!!先生っ、何ですか、その指輪っ!!」
「おぉぉっ、昨日は無かったぞ?」
緩む口元を隠そうと手で覆ったその時、看護師の恩田さんに見つかり、奥田院長が駆け寄って来た。
「もしかして、財前さんから頂いたんですか~?」
「そうなのか?」
「………はい」
「マジか!?」
煌々と輝く指輪が左手の薬指に存在感を成している。
「いつの間にそんな仲になったんだ?」
「……秘密です」
「いいなぁ~」
「指輪がか?それとも彼がか?」
「両方に決まってるじゃないですか!」
正式に『付き合おう』と言われたわけじゃないし、彼から『好きだ』と言われてもいない。
今の関係が正直どんな扱いなのかも分からないけど、そんなことは重要じゃない。
例え、ふりだとしても、片思いだとしても今は十分満足だし。
何より、前よりずっと彼が近くに感じれるようになっただけで幸せだから。
「今日からASJの健康診断が開始になるから、予定表に沿って順次必要な診察及び検査を頼むな」
「はい」
白衣の袖に腕を通しながらホワイトボードに張り出された予定表を確認する。
一度には収容しきれないし、通常診療と応急対応もあるから少人数制で割り振られている。
本院での検査も可能で、本人の希望で受診場所を決めるらしい。
部門、班ごとの職員一覧表が机の上に置かれていた。