隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 予想していなかった刺激に、ルドルフの身体の下にある腰が思わず揺れ、寝台もその振動で跳ねた。
 アルベティーナの至る所を舐めたルドルフはくすりと笑う。
「お前は、甘いな……」
「う、嘘……」
 弾む息を整えながら、アルベティーナは声を出した。
「嘘じゃない。今も甘い香りで、俺を誘っている。……お前、俺が好きなのか?」
 達したばかりで、ぼんやりとしているアルベティーナではあるが、ルドルフから突き付けられた言葉の意味くらいはわかっていた。
 それは先日、彼に向かって放った言葉。やはり彼の耳に届いていたようだ。
 だが彼の言葉に答えることはしない。口を結び、じっと目の前の男の顔を見つめる。ぼんやりとした灯りであるが、目が慣れてしまったため今でははっきりと物事を見ることができた。
 ルドルフのガウンもはだけ、鍛えられた身体が視界に入った。腹部には何か傷痕があるように見えた。
 アルベティーナはそれに触れる。
「ああ。昔の傷だ」
「痛み、ますか?」
「いや」
 そこでルドルフは余裕に満ちた笑みを浮かべる。ガウンが邪魔なのか、彼はそれを脱ぎ去った。
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