隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「あの。殿下……。私、昨日……」
「ああ。昨日な。君のここに私の子種をたくさん注いだからな」
 シーグルードがアルベティーナの腹部を撫でる。
「だから、君を家に帰すことができなくなった」
 アルベティーナには何が何だかわからない。シーグルードの言っている言葉の意味も。
「昨日……。私、団長の執務室に行って……」
「そうだ。そこで私が君の純潔をもらった」
「え」
 昨日、アルベティーナを抱いたのは目の前のシーグルードではなく、ルドルフだったはずだ。
「ああ。すまない。驚いている君が可愛すぎて。そろそろ種明かしをしようかな」
 腕を組んだシーグルードは、楽しそうに笑っている。だがその笑顔が、ルドルフが時折見せる笑顔と重なった。
(あ……)
 シーグルードが自身の髪に触れると、金色の髪の下からチャコールグレイの髪が出てきた。つまり、金色の髪が鬘だったのだ。
「団長……? え。殿下が団長だったんですか? いや、でも。あの日……」
 アルベティーナが騎士団に入団した初日、ルドルフは間違いなくシーグルードの隣にいた。
「アルベティーナ。私は君を困らせたいわけじゃない。どうやら寝起きのようだしね。お茶でも飲むかい?」
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