隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「毎日、私が団長だと思ってお仕事を手伝っていたのは」
「私だよ」
「そうですか……」
 そこでアルベティーナは目を伏せた。騙されたという思いはあったが、彼女が惹かれたのはルドルフというトルスタヤ公爵家の嫡男ではなく、毎朝、共に仕事をしていたルドルフなのだ。
「すまなかった。本当は、すぐにでも私であることを君に伝えたかった。だが、私の立場もあり、それができなかった。それでも私は君の側にいたいと、そう思っていた」
「はい……」
 全てをシーグルードに伝えられた今、アルベティーナの思いも複雑なものであった。
「毎朝、君と二人で過ごした時間は、私にとってはかけがえのない時間だったのだよ」
「殿下は、どうしてそこまでして私のことを?」
 アルベティーナはもう一度顔を上げ、シーグルードの顔をじっと見る。目の前にいるのは、毎日数時間、時間を共にした彼だ。
「君のことが好きだから。それ以外に理由はない。どうか、私と結婚して欲しい。本当は、昨日だって、ルドルフではなく私として君を抱きたかった。だが、そうすると君に逃げられる可能性があった。だから確実に君を私の物にしてから、全てを明かした。君は、ルドルフのことが好きなのか?」
「私は……」
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