隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「で、殿下……」
「今からは、私を殿下と呼ぶたびに悪戯をしよう。覚悟しとけよ」
 結局、シーグルードと共に湯浴みをする羽目になったアルベティーナであるが、彼と共に裸になったことで、それだけで済むはずもなかった。


 再び寝台の上にいるアルベティーナであるが、今までの行為を思い出し両手で顔を覆っていた。
(完璧に流されている……)
 シーグルードから求められてしまうと、身体が勝手に開いてしまう。今は、この状況を整理して理解することが必要であるとわかっているはずなのに。
(結局、好きだと思っていた団長が、シーグルード殿下だったなんて……)
 しかもよりによって、その本人に向かって「純潔を奪って欲しい」とまで口走っている。冷静にならなければ、と思えば思うほど恥ずかしさが込み上げてくる。
「ああ、ティナ。待たせてしまって悪かった。お腹が空いただろう?」
 アルベティーナがそうやって一人で悩んでいるとき、食事のワゴンを押しながら部屋に入ってきたのはシーグルードである。
「し、シーグルード様……。シーグルード様自らそのようなことを……」
 アルベティーナが慌てて寝台から降りようとすると、足がもつれて転びそうになってしまう。シーグルードが慌てて駆け寄り、彼女の身体を支えた。
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