隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「私は……、騎士団にとっては不要な人間なのですね」
 必要とされている。頼りにされている。だからこそ騎士団の仕事はやりがいがあった。にも関わらず、シーグルードから突き付けられた言葉。アルベティーナをどん底に落とすには充分な言葉だ。
「不要だとは言っていない。君がいたことで、騎士団の仕事は今まで以上にはかどったし、女性騎士を求められる場面があることも事実だ。だが、一人の人間が抜けたことによって仕事ができなくなるような組織を作ってはならないと、私は思っている。もしも君が責任を感じて、その惰性で騎士を続けたいと言うのあれば、今すぐ辞めて欲しいというのが私の本音だ」
 ただでさえ警備隊には女性騎士が不足している。アルベティーナが抜けたら、誰がその代わりを埋めるのだろうか。だが、シーグルードの話を聞く限りでは、すでにその方法が決められているようにも思う。
「セヴェリお兄さまと、話をさせてください」
「それはできない」
「どうしてですか?」
 アルベティーナが尋ねると、シーグルードは苦しそうに顔を逸らす。だからアルベティーナは彼の顔を下から覗き込んだ。するとシーグルードはまた顔を背ける。これでは埒があかないと思ったアルベティーナ。
「シーグルード様。何を隠していらっしゃるんですか」
「何も隠してはいない」
 だが彼は耳の先まで真っ赤に色づいている。
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