隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
第八章
その日アルベティーナは、苦手なコルセットで身体を絞めつけられ、紺色の煌々と輝くドレスを着せられた。普段は淡い色のドレスを身に纏うことが多いアルベティーナであるが、こういった色合いも似合うだろうとシーグルードが口にしたのがきっかけだった。
(私ではないみたい……)
髪を結い上げようとすると、染め粉で染めていた赤茶の髪の色が薄くなっていることに気付いた。前に染めてから、どれくらいが経っただろうか。一か月くらいか、それ以上か。
彼女の身支度を手伝った侍女も、それに気付いたのだろう。結い上げるのをやめ、できるだけ髪の根元が見えないように気遣ってくれた。
「あの……。シーグルード様……」
アルベティーナは髪色の件を彼に伝えようかどうかを迷っていた。今までは部屋に閉じこもり、必要な教育を受けるときしか部屋から出なかった。だから、さほど気にもならなかったのだ。
だが、こうやって厳かなドレスに身を包み、鏡の前に立ってしまうと気になる人にとっては気になってしまう髪色。それでも近づいてじっくりと見なければ気付かないだろう。
「髪の毛、変ではありませんか?」
そう尋ねるのが、アルベティーナにとっては精一杯だった。
(髪の色を染めていること……、シーグルート様にもお伝えしなければ、ならないわよね。でもまだ、なんて言ったらいいか、わからない)
「うん、大丈夫だ。似合っているよ」
(私ではないみたい……)
髪を結い上げようとすると、染め粉で染めていた赤茶の髪の色が薄くなっていることに気付いた。前に染めてから、どれくらいが経っただろうか。一か月くらいか、それ以上か。
彼女の身支度を手伝った侍女も、それに気付いたのだろう。結い上げるのをやめ、できるだけ髪の根元が見えないように気遣ってくれた。
「あの……。シーグルード様……」
アルベティーナは髪色の件を彼に伝えようかどうかを迷っていた。今までは部屋に閉じこもり、必要な教育を受けるときしか部屋から出なかった。だから、さほど気にもならなかったのだ。
だが、こうやって厳かなドレスに身を包み、鏡の前に立ってしまうと気になる人にとっては気になってしまう髪色。それでも近づいてじっくりと見なければ気付かないだろう。
「髪の毛、変ではありませんか?」
そう尋ねるのが、アルベティーナにとっては精一杯だった。
(髪の色を染めていること……、シーグルート様にもお伝えしなければ、ならないわよね。でもまだ、なんて言ったらいいか、わからない)
「うん、大丈夫だ。似合っているよ」