隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「誰か……」
刺された脇腹を押さえながら、少年は力の限り声を張り上げた。幸いにも、すぐに護衛騎士が駆けつけ、少年を刺した犯人はすでに取り押さえられている。
その犯人が連れ去ろうとした彼女は、怪我一つなく無事であったことに安堵する。
その途端、彼は意識を失った――。
少年を刺したのは庭師に扮した男だった。限られた人物しか足を踏み入れることができないこの庭園で、少年は彼女の手を繋いで花を愛でていた。少年たちから少し離れた場所には、万が一に備えて護衛騎士が控えている。
庭師の男はいつもと違う男だったが、少年が声をかけると、庭園に咲き誇る花について教えてくれた。だから少年もその男が新しい庭師だと思ったのだ。庭師に案内され、彼女と共に庭園を歩く。小さな彼女は、楽しそうにキャキャと声を出して笑っていた。
と、そのとき、腹部に鋭い痛みが走った。いや、痛いというよりは熱い。身体に力が入らず、腹部を押さえて膝をつく。気付けば手を繋いでいたはずの彼女は、あの庭師の男の腕の中にある。
彼女の名を呼び、助けを呼んだところまでは覚えている。
傷の痛みで意識が朦朧としている中、優しく頭を撫でてくれたのは少年の母親だった。
刺された脇腹を押さえながら、少年は力の限り声を張り上げた。幸いにも、すぐに護衛騎士が駆けつけ、少年を刺した犯人はすでに取り押さえられている。
その犯人が連れ去ろうとした彼女は、怪我一つなく無事であったことに安堵する。
その途端、彼は意識を失った――。
少年を刺したのは庭師に扮した男だった。限られた人物しか足を踏み入れることができないこの庭園で、少年は彼女の手を繋いで花を愛でていた。少年たちから少し離れた場所には、万が一に備えて護衛騎士が控えている。
庭師の男はいつもと違う男だったが、少年が声をかけると、庭園に咲き誇る花について教えてくれた。だから少年もその男が新しい庭師だと思ったのだ。庭師に案内され、彼女と共に庭園を歩く。小さな彼女は、楽しそうにキャキャと声を出して笑っていた。
と、そのとき、腹部に鋭い痛みが走った。いや、痛いというよりは熱い。身体に力が入らず、腹部を押さえて膝をつく。気付けば手を繋いでいたはずの彼女は、あの庭師の男の腕の中にある。
彼女の名を呼び、助けを呼んだところまでは覚えている。
傷の痛みで意識が朦朧としている中、優しく頭を撫でてくれたのは少年の母親だった。