隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「アルベティーナ様、マティアス殿下の隣にどうぞ」
 ドロテオが、ソファに座るようにと促した。アルベティーナはマティアスと呼ばれた男をじっと見る。
「どうぞ。疲れたでしょう? 今、お茶を淹れるから」
 マティアスはにっこりと微笑むと、アルベティーナを隣に誘う。
「クレアは? クレアはどうするつもりですか?」
 イリダルの腕の中にいるクレアに視線を向ける。
「ここまで来てくれたからね。悪いようにはしない。だけど、逃げられないように閉じ込めておく必要があるね」
 マティアスは後ろを振り向く。
「イリダル。彼女には外から鍵のかかる三階のあの部屋に」
「承知しました」
「さて。これで君が不安に思う要素は無くなったわけだ。僕と一緒にお茶でも飲もう。妹と、こうやってゆっくりと語ってみたかったんだ」
 アルベティーナと同じ瞳の色で見つめてくる。
「あなたは……」
「まあまあ。そう焦らないで。まずは座りなよ」
 ぽんぽんとマティアスは隣の空いている場所を叩く。つまり、そこに座れとアルベティーナに言っているのだ。
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