隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「お母さま、このドレスの胸元。少し開きすぎではありませんか?」
胸元の膨らみの根本が見えそうな際どいデザイン。
「今は、こういったデザインが流行りなのよ。それでも、これは控えめな方。それにこれをつければほらね。素敵だわ」
アンヌッカは、娘の首に手を回して、彼女の瞳の色と同じスカイブルーの宝石がついた首飾りをつけた。
「ほらね」
鏡の中のアンヌッカが微笑んでいる。アルベティーナも鏡の中の彼女に向かって微笑んだ。
この日のためにあつらえた白いドレスだが、裾にはレースが贅沢に使われている。一見、シンプルに見えるようなデザインであるが、細やかな刺繍も、職人の技が光る一級品。普段のアルベティーナであれば、恐ろしくて着ることができないようなドレスだ。汚したらどうしよう、破いたらどうしよう。そういった意味での恐ろしい、である。
「いいわね。ティーナ。入城したらお父さまと一緒に陛下にご挨拶よ。それが終わったら、お父さまと踊るの。わかった?」
これはこの王都に来てから、毎日、呪文のようにアンヌッカから聞かされている内容であり、さすがにそれだけ言われてしまえば、気乗りのしないアルベティーナであっても、覚えてしまう。
アルベティーナは高鳴る鼓動を落ち着けるかのように、息を吐いた。これから両親と馬車に乗って王城へと向かうのだ。
胸元の膨らみの根本が見えそうな際どいデザイン。
「今は、こういったデザインが流行りなのよ。それでも、これは控えめな方。それにこれをつければほらね。素敵だわ」
アンヌッカは、娘の首に手を回して、彼女の瞳の色と同じスカイブルーの宝石がついた首飾りをつけた。
「ほらね」
鏡の中のアンヌッカが微笑んでいる。アルベティーナも鏡の中の彼女に向かって微笑んだ。
この日のためにあつらえた白いドレスだが、裾にはレースが贅沢に使われている。一見、シンプルに見えるようなデザインであるが、細やかな刺繍も、職人の技が光る一級品。普段のアルベティーナであれば、恐ろしくて着ることができないようなドレスだ。汚したらどうしよう、破いたらどうしよう。そういった意味での恐ろしい、である。
「いいわね。ティーナ。入城したらお父さまと一緒に陛下にご挨拶よ。それが終わったら、お父さまと踊るの。わかった?」
これはこの王都に来てから、毎日、呪文のようにアンヌッカから聞かされている内容であり、さすがにそれだけ言われてしまえば、気乗りのしないアルベティーナであっても、覚えてしまう。
アルベティーナは高鳴る鼓動を落ち着けるかのように、息を吐いた。これから両親と馬車に乗って王城へと向かうのだ。